シュートをよく外す人と大抵のボールを枠に飛ばせる人の違いは何でしょうか。
それを解明して実践するのは決して簡単なことではありません。
それでも、いくつかの点に注意し、質を高めていくなら成功する可能性を高めることが出来るはずです。
いくつかのポイントをあげます。
シュート前のトラップは正確にする
サッカーのすべてのシーンで言えることですが、正確にトラップし、次の動きに一番都合のいい場所にボールを置くことが出来れば、動きは素早くスムーズになり、効果的な動きやキックを繰り出すことが出来ます。
さらにボールを取られにくくなり、そのことからディフェンダーとの駆け引きで優位に立つことがより簡単になるのです。
それらの結果として、落ち着いて、自信をもったプレーをするための大きな助けとなります。
ですから是非、生徒たちに上手にトラップすることの大切さを教えましょう。
シュートチャンスを逃さない。
以前の記事でもふれましたが、シュートというのは攻撃の流れの最後の締めくくりです。
起承転結の「結」なのです。
その場でさらにパスを選択することは(それがさらにチャンスを広げるのでないかぎり)不必要に「転」を続けることになり、チーム全体が行き詰った雰囲気を感じることになりかねません。
試合の流れ、攻撃の流れの中で、シュートを打つべきシーンにはシュートを打つべきなのです。
もしかしたら、選手は大事に行こうという判断でもう一つパスを通そうとするかもしれません。
または少し自信が足りなくてパスを選択するかもしれません。
私たちの側は選手のそれぞれの判断の理由を理解できるように努めましょう。
そして、褒められる点を褒め、改善できる点を指摘するなら、次の機会に活かすことができるでしょう。
シュートの確実なチャンスをきちんと決める
プロの試合であっても、ボールを触ればゴールというチャンスでボールが明後日の方向に飛んでしまったというシーンは時々あるものです。
そういう状況は突然やってきます。
その時に確実にそのチャンスにボールをきちんと蹴れるように準備していることは大切です。
考えすぎると大事なシーンで失敗することがあります。
ですから、体が上手に動てくれるよう繰り返し練習し、本番で練習通りにプレーできるように準備することができるでしょう。
シュート前には冷静さを保つ
さらに、突然訪れるチャンスをものにするには冷静でいる必要があります。
どのように冷静さを保つことが出来るのでしょうか。
人は誰しも、疲れてくると考えが鈍くなるものです。
そして冷静に考えることが難しくなります。
ですから、試合終了まで冷静に考え続けることを可能にする体力が必要なのです。
太ももに乳酸菌が溜まってくる時間帯、息が上がっている状況であっても冷静な判断を下すには、体力が求められます。
フォワードの選手にとにかく点を取ることを求めたい場合は、試合中に守備に体力を使うよりも、攻撃で頑張るように伝えるとよい理由はここにあります。
シュート前には常に準備していること
サッカーの試合ではポジションによって主な役割が違います。
その故、シュートしてゴールを決める人と、そうでない人、またはシュートを打つのが仕事の人とパスを出してアシストをするのが専らの仕事とそれぞれを区別しがちです。
そしてアシストを仕事とする人はシュートを打たないと勘違いやすいのです。
選手自身もそのように考えているかもしれません。
確かに、ディフェンダーが攻撃だけして守備をしないのは困るのですが、試合の流れの中ではディフェンダーの選手にもシュートチャンスが巡ってくることがあります。
その時に的確にシュートを打つ選択をするにはその為の気持ちの準備をしている必要があります。
アタッキングサード(フィールドを三分の一にした際の相手ゴール側)では皆にシュートを打つチャンスがあります。
ですから、自分のポジションはボランチ(守備的ミッドフィールダー)だからとか、自分はセンターバックだからといってシュートチャンスに顔をださないということが無いように教えるなら、子供たちはいつもシュートのチャンスのために気持ちの準備をしているように助けられるでしょう。
ボールの飛ぶ先を読む
プロの試合を見ていると、なぜかゴール前のシーンでいつもいいところに立っていてシュートを決める選手たちがいます。
なぜそこにいたのでしょうか。
確かなことはゴール前でボールが飛んでくる先をある程度推測できると、シュートのチャンスも広がるということです。
これには経験が求められます。
味方のボールがどう飛びそうか、そうなるとキーパーはどの方向にボールをはじこうとするだろうか、するとボールはどの辺りに転がってくるかという風に推測するのです。
大人がこのシーンではこの辺りにセカンドボールが飛んでくることが多いといったヒントを与えてあげるといいでしょう。
それと同時にいつもそういう風にしてボールの動きを見ているといいことを教えることが出来ます。
例えばコーナーキックが相手ディーフェンダーのヘディングではじかれるとゴールから10メートル程度離れたあたりに一度ボールが落ちてくることが多いかもしれません。
そのあたりで待ち構えているならシュートチャンスになるといえるでしょう。
一対一で飛び出してくるキーパーに対面するとき
ここボリビアで地元の若者とサッカーをすると、たまにゴール前でキーパーとの一対一にとても強い子を目にすることがあります。
観察していると、いくつかのことがわかります。
(1)ぎりぎりまでキーパーの動きを見ている。
(2)キーパーの動きに合わせたシュートコースの選択肢を持っている。
(3)シュートは蹴りこむシュートではなく軽く流し込むシュート。
これらは幼い子供たちには難しいことですが、少しずつ教えてあげるならゴール前で落ち着いてシュートを蹴れるよう助けることができるでしょう。
ちなみにキーパーの動きに合わせたシュートコースの選択肢というのは、例えば、前に出てきて距離を詰められそうになるなら利き足のほうに逃げてシュートコースを開ける。
もしキーパーが体を投げだしながらコースを消してくるならチョンとボールを浮かしてキーパーの上を越えるシュートを打つ。
といった具合です。
選手によりますが、それらの選択肢がどちらも上手くいかなかったら仕方ないと割り切っているように見えることもあります。
その潔さが良いプレーにつながるように見えます。
キーパーの動きを理解しているならより落ち着いてプレーできるようになります。
自分なりにおさらいして次のチャンスに活かす
サッカーは考える能力が求められるスポーツです。
子供のころから考える癖をつけるように教えることはよいことです。
シュートを失敗してしまったなら、次に同じようなシーンでどうしたらよいかをおさらいするように教えましょう。
もしかしたら、単純にシュートのコースが良くなかったのかもしれませんし、力が入りすぎてしまったのかもしれません。
次にその失敗を活かせるようにあげましょう。